深刻化する人手不足を背景に、外国人材の受け入れは多くの企業にとって重要な経営課題となっています。その中でも、2019年に創設された在留資格「特定技能」は、即戦力となる人材を確保する有効な手段として注目されています。しかし、この制度には「特定技能1号」と「特定技能2号」という2つの区分が存在し、その違いが複雑で分かりにくいと感じる担当者の方も少なくありません。
「1号と2号では、どちらが自社に適しているのか?」「長期的に活躍してもらうには、どちらの制度を活用すべきか?」こうした疑問は、外国人材の採用戦略を立てる上で避けては通れない重要なポイントです。この特定技能 1号と2号の制度上の違いを正しく理解しなければ、採用後のミスマッチや、予期せぬコスト増、人材の早期離職といったリスクを抱えることになります。
本記事では、特定技能1号と2号のそれぞれの役割から、在留期間、対象分野、家族帯同の可否といった具体的な要件の違いまでを徹底的に比較・解説します。この記事を読めば、貴社が求める人材像や事業計画に合わせて、どちらの制度を活用すべきかを迷わず判断できるようになります。
外国人材受け入れを検討するなら知るべき、特定技能制度の全体像
特定技能制度の詳細な違いを理解する前に、まずは制度全体の目的や基本的な構造を把握することが重要です。なぜこの制度が作られ、1号と2号にはそれぞれどのような役割が与えられているのかを知ることで、より深く制度を理解し、自社の採用活動に活かすことができます。
特定技能制度が創設された背景と目的
特定技能制度が創設された主な背景には、日本の生産年齢人口の減少に伴う、深刻な人手不足があります。特に、中小・小規模事業者においては人手不足が常態化しており、事業の継続さえ困難になるケースも少なくありません。このような状況を打開するため、国内での人材確保が困難な特定の産業分野において、即戦力となる外国人材を受け入れることを目的として、2019年4月に特定技能制度が導入されました。[1]
この制度は、従来の技能実習制度が「国際貢献」を目的とし、技能の移転に主眼を置いていたのとは異なり、明確に「労働力の確保」を目的としています。そのため、受け入れられる外国人材には一定の専門性・技能、そして日本語能力が求められるのが特徴です。
特定技能「1号」と「2号」それぞれの役割
特定技能制度は、その目的を達成するために「1号」と「2号」という2つの在留資格を設けています。それぞれの役割は明確に区別されています。
- 特定技能1号: 「特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」と定義されています。これは、特定産業分野における人手不足に迅速に対応するための制度であり、即戦力として現場で活躍できる人材を確保することを主な役割としています。
- 特定技能2号: 「特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」と定義されています。1号よりも高度な専門性や熟練した技能を持つ人材を対象とし、現場のリーダーや管理者としての活躍が期待されます。こちらは、より専門性の高い人材の長期的な受け入れと定着を目的とした制度です。
このように、1号が「即戦力人材の確保」という短期・中期的な課題に対応するのに対し、2号は「熟練人材の長期確保と育成」という、より長期的な視点に立った制度であると理解することが重要です。この基本的な役割の違いが、在留期間や家族帯同の可否といった具体的な条件の差に繋がっています。
特定技能1号で外国人材を受け入れる条件と在留期間
まず、多くの企業が最初に利用を検討する「特定技能1号」について、その具体的な受け入れ条件や在留期間を詳しく見ていきましょう。このセクションでは、対象となる分野、求められる能力水準、そして在留における重要な制約について解説します。
対象となる12分野と具体的な業務範囲
特定技能1号は、特に人手不足が深刻とされる以下の12の特定産業分野で外国人材を受け入れることが可能です。[2] 各分野で従事できる業務は、専門性が求められる「区分業務」として定められています。
- 介護: 利用者の心身の状況に応じた身体介護、レクリエーションの実施など
- ビルクリーニング: 建築物内部の清掃
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業: 鋳造、鍛造、金属プレス加工、機械加工、電気機器組立てなど
- 建設: 型枠施工、左官、コンクリート圧送、土工、屋根ふき、電気通信など
- 造船・舶用工業: 溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、電気機器組立てなど
- 自動車整備: 自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備
- 航空: 空港グランドハンドリング、航空機整備
- 宿泊: フロント、企画・広報、接客、レストランサービスなどの宿泊サービスの提供
- 農業: 耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別など)、畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別など)
- 漁業: 漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作など)、養殖業(養殖資材の製作・補修、養殖水産動植物の育成管理・収獲(穫)・処理など)
- 飲食料品製造業: 酒類を除く飲食料品の製造・加工、安全衛生管理
- 外食業: 飲食物調理、接客、店舗管理
自社がこれらの分野に該当し、定められた業務内容と一致するかを確認することが、受け入れの第一歩となります。
必要な日本語能力と技能水準
特定技能1号の外国人材は「即戦力」として期待されるため、業務に必要な能力を持っていることを証明しなければなりません。具体的には、以下の2つの試験に合格する必要があります。
- 技能水準: 各産業分野を所管する省庁が定める「技能測定試験」に合格する必要があります。この試験は、それぞれの業務区分において「相当程度の知識又は経験」を有しているかを判断するものです。
- 日本語能力水準: 国際交流基金が実施する「日本語基礎テスト(JFT-Basic)」に合格するか、日本語能力試験(JLPT)で「N4」以上に合格する必要があります。これは、業務上や日常生活において、ある程度コミュニケーションが取れるレベルを示します。
ただし、技能実習2号を良好に修了した外国人は、これらの試験が免除される場合があります。この点は、技能実習生を受け入れている企業にとって大きなメリットとなり得ます。
最長5年間の在留期間と家族帯同の可否
特定技能1号の在留資格には、重要な制限が2つあります。それは在留期間と家族の帯同です。
まず、在留期間は通算で最長5年と定められています。1年、6ヶ月、または4ヶ月ごとの更新が必要ですが、合計して5年を超えて日本に在留することはできません。これは、1号があくまで短期・中期的な人手不足への対応を目的としているためです。
また、原則として家族(配偶者や子)の帯同は認められていません。特定技能1号の外国人は、単身で来日し、就労することが前提となります。この点は、長期的な定着を望む外国人材にとって大きなハードルとなる可能性があり、受け入れ企業側も理解しておくべき重要なポイントです。
特定技能2号が示す、永住も視野に入れた熟練外国人材の可能性
次に、特定技能1号の上位資格と位置づけられる「特定技能2号」について解説します。2号は、より高い専門性を持つ人材を長期的に確保するための制度であり、企業の中核を担う人材の育成や定着を目指す上で非常に魅力的な選択肢です。
対象となる2分野と求められる高い専門性・技能
2023年6月現在、特定技能2号の対象分野は以下の2分野に限定されています。[3]
- 建設
- 造船・舶用工業
これらの分野で特定技能2号として認められるためには、「熟練した技能」を持っていることが求められます。具体的には、複数の作業員を指導しながら業務を遂行できる、あるいは現場の工程を管理できるような、いわゆる現場監督やリーダーレベルの能力が想定されています。この能力を証明するために、各分野で定められた高度な技能測定試験に合格する必要があります。なお、特定技能2号では、日本語能力試験は課されません。これは、既に1号の段階や実務経験を通じて、業務に必要なコミュニケーション能力は有していると判断されるためです。
在留期間の上限撤廃と家族帯同の条件
特定技能2号の最大のメリットは、在留に関する制約が大幅に緩和される点にあります。
まず、在留期間の上限がありません。3年、1年、または6ヶ月ごとの更新は必要ですが、要件を満たす限り何度でも更新が可能であり、事実上、長期的に日本で就労し続けることができます。これにより、企業は腰を据えて人材を育成し、長期的な戦力として活用することが可能になります。
さらに、もう一つの大きなメリットが家族帯同の許可です。要件(生計を維持できることなど)を満たせば、配偶者と子を日本に呼び寄せ、一緒に生活することができます。これにより、外国人材は生活基盤を日本に築きやすくなり、企業への定着率向上にも大きく貢献することが期待されます。
永住権取得へのステップとメリット
特定技能2号は、将来的な永住権取得への道を開く可能性も秘めています。日本の永住許可の要件の一つに「原則として引き続き10年以上本邦に在留していること」という項目があります。[4]
特定技能2号は在留期間に上限がないため、この要件を満たすことが可能です。特定技能2号として長期間日本で働き、納税などの公的義務を果たし、安定した生活を送ることで、永住許可申請の土台を築くことができます。永住権を取得すれば、在留資格の更新が不要になるほか、活動内容にも制限がなくなり、より安定した身分で日本に在留できるようになります。これは、本人にとって大きな安心材料となるだけでなく、企業にとっても永続的な人材確保に繋がる極めて重要なメリットと言えるでしょう。
特定技能1号と2号、重要な9つの項目で「違い」を徹底比較【一覧表付き】
| 比較項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 通算で最長5年 | 上限なし(更新可能) |
| 対象分野 | 12分野 | 2分野(建設、造船・舶用工業) |
| 技能水準 | 技能測定試験合格(相当程度の知識・経験) | 高度な技能測定試験合格(熟練した技能、現場監督レベル) |
| 日本語能力 | JFT-BasicまたはJLPT N4以上(免除あり) | 試験なし(実務経験で有していると判断) |
| 家族帯同 | 原則不可 | 要件を満たせば可能(配偶者・子) |
| 永住権への道 | 直接的な道なし | 可能性あり(長期在留要件を満たせる) |
| 制度の目的 | 即戦力人材の確保(短期・中期的な人手不足対応) | 熟練人材の長期確保と育成(長期的な視点) |
ここまで特定技能1号と2号のそれぞれの特徴を見てきましたが、両者の違いをより明確に理解するために、重要な9つの項目で比較してみましょう。一覧表で全体像を把握し、その後の詳細な解説で理解を深めてください。
これらの制度について、より専門的な情報や法的な解釈を確認したい場合は、各専門機関が提供する情報も役立ちます。例えば、マイナビグローバル 特定技能情報では1号と2号の違いが網羅的に解説されており、弁護士法人サムライ 特定技能解説では法律の専門家による比較表が掲載されています。また、サポートデスクひょうご 特定技能情報や上原総合法律事務所 特定技能解説なども、家族帯同や在留期間といった特定のテーマについて深い情報を提供しています。さらに、NAITEI BRIDGE 特定技能解説、明光グローバル 特定技能情報、Eight Links 特定技能解説、ハーベストプランニング 特定技能ビザ情報といったサイトでも、多角的な視点からの解説が行われています。
| 比較項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 通算で上限5年 | 上限なし(更新可能) |
| 家族帯同 | 原則不可 | 可能(配偶者・子) |
| 永住権取得への道のり | 在留期間が5年で途切れるため、直接は難しい | 在留期間の要件を満たすことが可能 |
| 対象分野 | 12分野 | 2分野(建設、造船・舶用工業) |
| 求められる技能水準 | 相当程度の知識・経験(現場作業レベル) | 熟練した技能(現場監督・リーダーレベル) |
| 求められる日本語能力 | 必要(JLPT N4程度など) | 試験は不要 |
| 支援義務 | 必須(登録支援機関への委託も可) | 不要(ただし任意での支援は推奨) |
| 転職の自由度 | 同一分野・同一業務内であれば可能 | 同一分野・同一業務内であれば可能 |
| 企業側の受け入れ要件 | 支援体制の具備、各種届出義務など | 1号と同様の労働条件遵守などに加え、2号の技能水準に見合う業務・待遇の提供 |
在留期間の「違い」と更新条件
最も大きな違いは在留期間です。特定技能1号は、更新を繰り返しても通算で5年という上限があります。この期間が終了すると、原則として帰国しなければなりません。一方、特定技能2号にはこの上限がなく、在留状況に問題がなければ更新を続けることで半永久的に日本で就労可能です。企業にとっては、長期的な事業計画に人材を組み込めるかどうかの大きな分かれ目となります。
家族帯同の可否とその条件
生活基盤の安定に直結するのが家族帯同の可否です。特定技能1号は単身での就労が前提であり、家族を呼び寄せることはできません。これに対し、特定技能2号は、安定した収入があるなどの要件を満たせば、配偶者と子供の帯同が認められます。これにより、外国人材は安心して日本での生活を続けることができ、企業へのエンゲージメント向上にも繋がります。
永住権取得への道のり
永住権は、日本での安定した生活を望む外国人材にとって最終目標の一つです。特定技能1号の在留期間(最長5年)は、永住許可の要件である「10年以上の在留」を満たせないため、1号の資格のままでは永住権取得は困難です。しかし、特定技能2号は在留期間に上限がないため、長期にわたり日本で就労・生活することで、永住権申請の要件を満たすことが可能になります。
対象となる分野と業務内容
受け入れ可能な産業分野にも大きな差があります。特定技能1号は介護や外食業など、人手不足が特に深刻な12の幅広い分野が対象です。これに対し、特定技能2号は、現時点では建設業と造船・舶用工業の2分野に限定されています。自社の業種がどちらの対象分野に含まれるかを確認することが不可欠です。
求められる技能水準と日本語能力
求められるスキルレベルも異なります。特定技能1号は「相当程度の知識・経験」が求められ、特定の業務を遂行できる即戦力としての能力が問われます。日本語能力も、業務や生活に支障がないレベル(N4程度)が必要です。一方、特定技能2号は「熟練した技能」が求められ、現場監督など指導的立場を担える高度な専門性が必要です。その代わり、日本語能力試験は免除されます。
特定技能外国人への支援義務の有無
受け入れ企業に課される義務にも違いがあります。特定技能1号の外国人を受け入れる企業は、職業生活上、日常生活上、社会生活上の支援を行う「支援計画」を作成し、実施する義務があります。この支援は、専門知識が必要なため、多くの場合「登録支援機関」に委託されます。一方、特定技能2号の外国人に対しては、この法的な支援義務はありません。ただし、円滑な就労や定着のため、企業が任意でサポートを提供することが推奨されます。
転職の自由度と条件
転職については、1号と2号で基本的なルールは同じです。どちらの資格も、同一の業務区分内であれば、転職は可能です。例えば、特定技能1号「外食業」の資格を持つ人は、AレストランからBレストランへ転職することができます。ただし、全く異なる分野(例:外食業から介護業)へ転職する場合は、改めてその分野の技能試験に合格し、在留資格変更許可申請を行う必要があります。
企業側の受け入れ要件
企業側が満たすべき要件は、1号と2号で共通する部分が多くあります。例えば、労働関係法令や社会保険関係法令を遵守していること、外国人と同等の報酬を支払うこと、倒産していないことなどです。2号を受け入れる場合は、これらに加え、2号の熟練した技能に見合った業務内容と待遇(役職や給与)を提供できる体制が求められます。
費用・コストの相違点
受け入れにかかるコストにも違いが生じます。特に大きな差が出るのが支援委託費用です。特定技能1号では、登録支援機関に支援を委託する場合、月額2万円~5万円程度の委託費用が発生します。年間では24万円~60万円のコストになります。一方、特定技能2号ではこの支援義務がないため、支援委託費用は原則としてかかりません。ただし、その分、社内で相談窓口を設けるなどの体制整備が必要になる場合があります。
特定技能1号から2号へのステップアップ条件と具体的な手続き
特定技能1号で入国した外国人材が、日本でさらにキャリアを積み、長期的に活躍するためには、特定技能2号への移行が重要な選択肢となります。企業にとっても、育成した人材を失うことなく、中核人材として確保し続けるために、このステップアップのプロセスを理解しておくことが不可欠です。
2号移行に必要な試験と実務経験
特定技能1号から2号へ移行するためには、2号の対象分野(建設、造船・舶用工業)において、定められた要件を満たす必要があります。主な要件は以下の通りです。
- 対象分野での就労: 特定技能2号の対象となる「建設」または「造船・舶用工業」の分野で、特定技能1号として就労していること。
- 技能試験の合格: それぞれの分野で定められた、特定技能2号レベルの技能測定試験に合格すること。この試験は、現場監督やリーダーとしての実務能力を測る、より高度な内容となっています。
- 実務経験: 分野によっては、試験合格に加えて、一定期間の実務経験(例:班長としての経験など)が求められる場合があります。
特定技能1号での在留期間(最長5年)のうちに、これらの要件を満たすことが、2号へ移行するための鍵となります。企業としては、従業員のスキルアップを支援し、試験対策や実務経験を積ませるキャリアパスを提示することが重要です。
移行申請の流れと必要書類
要件を満たした外国人材は、在留資格を「特定技能1号」から「特定技能2号」へ変更するための手続きを行います。この手続きは、本人の在留期間が満了する前に、地方出入国在留管理局に対して「在留資格変更許可申請」を行うことで進められます。
主な申請の流れと必要書類は以下の通りです。
- 必要書類の準備: 申請には、以下のよう多数の書類が必要となります。
- 在留資格変更許可申請書
- 写真
- パスポート及び在留カード
- 特定技能2号の技能測定試験の合格証明書の写し
- (該当する場合)実務経験を証明する書類
- 受け入れ企業に関する書類(登記事項証明書、決算書類の写しなど)
- 雇用契約書や労働条件通知書の写し
- 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し
- 申請: 本人または受け入れ企業の職員、弁護士・行政書士などが、管轄の地方出入国在留管理局に書類を提出して申請します。
- 審査: 提出された書類をもとに、出入国在留管理庁で審査が行われます。審査期間は通常1〜3ヶ月程度です。
- 結果の通知: 審査が完了すると、結果が通知されます。許可されると、新しい在留カード(在留資格が「特定技能2号」と記載されたもの)が交付されます。
手続きは複雑で専門的な知識を要するため、行政書士などの専門家や、経験豊富な登録支援機関に相談しながら進めるのが一般的です。
企業が特定技能1号・2号を選ぶ際に重視すべきポイントと注意点
特定技能1号と2号の違いを理解した上で、自社にとってはどちらの制度を活用するのが最適なのでしょうか。この選択は、企業の事業戦略や人材育成の方針に大きく関わってきます。ここでは、企業が選択を行う際に重視すべき3つのポイントと注意点を解説します。
短期的な人手不足解消か、長期的な人材確保か
最も重要な判断基準は、外国人材に何を期待するかという目的です。
もし、当面の人手不足を解消し、現場の労働力を迅速に補うことが最優先であれば、対象分野が広く、比較的受け入れやすい特定技能1号が適しています。最長5年という期間はありますが、その間に事業の立て直しや次の採用計画を進めることができます。
一方、将来の事業拡大を見据え、技術やノウハウを継承してくれる中核人材を育てたい、あるいは現場のリーダーを任せられる人材を確保したいという場合は、特定技能2号が最適な選択肢となります。在留期間に上限がなく、家族帯同も可能なため、腰を据えて長く働いてもらうことが期待できます。初期の育成にはコストと時間がかかりますが、長期的に見れば企業にとって大きな財産となるでしょう。
受け入れコストと支援体制の準備
コストと社内体制も重要な判断材料です。特定技能1号を受け入れる場合、給与や社会保険料に加えて、登録支援機関への支援委託費用が継続的に発生します。自社で支援を行うことも可能ですが、専門部署の設置や担当者の配置など、相応の体制構築が必要です。
特定技能2号は法的な支援義務がないため、この支援委託費用はかかりませんが、熟練した技能を持つ人材に見合った高い給与水準が求められます。また、支援義務がないとはいえ、日本での生活が円滑に進むよう、住宅探しの手伝いや行政手続きのサポートなど、企業側が任意で行うべき支援は依然として存在します。
自社の予算や、人事・総務部門のリソースを考慮し、どちらの制度が現実的に運用可能かを検討する必要があります。外国人材の採用を検討しているものの、「Webからの集客方法が分からない」「提案できる企業数が少ない」といった課題を抱える支援機関と企業を繋ぐプラットフォームも存在します。例えば、私たち「外国人採用ポータル」は、監理団体・登録支援機関・外国人紹介会社と採用企業をダイレクトにつなぐ比較マッチングポータルです。こうしたサービスを活用し、信頼できるパートナーを見つけることも、コスト管理と体制準備の有効な手段となります。
転職リスクと定着率向上の施策
特定技能外国人は、同一分野内での転職が認められています。つまり、⚠️ 注意:多大なコストをかけて採用・育成した人材が、より良い条件を求めて競合他社に転職してしまうリスクは常に存在します。このリスクは、1号・2号どちらにも共通する課題です。
このリスクを低減し、人材の定着率を高めるためには、単に労働力を提供してもらうという考え方ではなく、共に成長するパートナーとして迎え入れる姿勢が不可欠です。具体的には、以下のような施策が有効です。
- 公正な評価と適切な待遇: 日本人従業員と変わらない公正な評価制度を設け、技能や貢献度に見合った昇給や賞与を支給する。
- 明確なキャリアパスの提示: 特定技能1号から2号へのステップアップ支援や、正社員登用、資格取得支援など、将来のキャリアプランを具体的に示す。
- 良好な職場環境の構築: 言語や文化の違いを乗り越えるためのコミュニケーション施策(やさしい日本語の活用、多言語での掲示など)や、相談窓口の設置。
- 生活面でのサポート: 家族帯同(2号の場合)に関するサポートや、地域コミュニティとの交流機会の提供など。
特に特定技能2号の人材は、他社からも求められる貴重な存在です。長期的に活躍してもらうためには、魅力的な労働環境とキャリアプランを提供し続ける努力が求められます。
特定技能1号・2号の「違い」を理解し、貴社に最適な外国人材戦略を構築する
本記事では、特定技能1号と2号の制度上の違いについて、目的、対象分野、在留期間、家族帯同、求められる技能水準など、多角的な視点から詳しく解説してきました。
改めて重要なポイントを整理すると、以下のようになります。
- 特定技能1号は、幅広い12分野で短期・中期的な人手不足を解消するための制度です。在留期間は最長5年で、家族帯同は認められませんが、迅速な人材確保に適しています。
- 特定技能2号は、建設・造船の2分野において、熟練した人材を長期的に確保するための制度です。在留期間に上限がなく、家族帯同も可能なため、企業の中核を担う人材の育成と定着を目指せます。
どちらの制度が優れているかという単純な話ではなく、貴社の事業計画や人材戦略、受け入れ体制によって最適な選択は異なります。短期的な労働力が必要なのか、それとも長期的な視点で中核人材を育てたいのか。自社の目的を明確にすることが、成功する外国人材活用の第一歩です。
しかし、制度を理解しても、「自社に合う支援機関をどう探せばいいのか」「信頼できるパートナーを見つけるのが難しい」といった新たな課題に直面することも少なくありません。特に初めて外国人材の採用に取り組む企業にとっては、情報収集だけでも大きな負担となります。
そのような課題を解決するために、外国人採用ポータルは存在します。外国人採用ポータルは、監理団体・登録支援機関・外国人紹介会社と採用企業をつなぐ比較マッチングポータルです。全国47都道府県に対応し、地域や在留資格、業種といった条件で最適な支援機関を検索・比較し、無料で相談することができます。専任スタッフが案件内容を確認・審査するため、確度の高いマッチングが期待できます。
特定技能1号と2号の違いを正しく理解し、信頼できるパートナーと共に、貴社の未来を切り拓く最適な外国人材戦略を構築してください。
参考文献
- 特定技能ガイドブック — 出入国在留管理庁・厚生労働省(2023年)
- 特定技能制度とは — 出入国在留管理庁
- 特定技能2号の対象分野の追加について — 出入国在留管理庁(2023年6月9日)
- 永住許可に関するガイドライン — 出入国在留管理庁(2023年4月21日改定)