この記事のポイント
- 特定技能「1号」は、国内での人材確保が困難な12の特定産業分野において、即戦力となる外国人材を受け入れるための在留資格です。
- 在留期間は通算で最長5年であり、一定の技能水準と日本語能力が求められますが、家族の帯同は認められていません。
- 受け入れ企業には、外国人材への職業生活上・日常生活上の支援(住居確保、各種手続き支援など)が義務付けられています。
- 技能実習2号を良好に修了した人材は、関連分野であれば試験免除で特定技能「1号」へ移行できる場合があります。
- より高度な技能を持つ「2号」へ移行することで、在留期間の更新や家族帯同が可能になるキャリアパスも開かれています。
日本国内の深刻な人手不足を背景に、多くの企業が外国人材の活用に注目しています。その中でも中核的な役割を担うのが「特定技能」制度です。この制度は、特に人手不足が著しい産業分野において、専門性や技能を持つ外国人材を即戦力として受け入れることを目的としています。
本記事では、その中でも基本となる在留資格「特定技能1号」に焦点を当て、制度の全体像を包括的に解説します。受け入れを検討している企業担当者様が知るべき条件、対象となる職種、企業側の義務、そして技能実習や特定技能2号との違いまで、具体的かつ網羅的に掘り下げていきます。この記事を通じて、特定分野の技能を持つ「1号」外国人材制度を正しく理解し、自社の成長戦略に活かすための第一歩を踏み出しましょう。
特定分野の技能を持つ「1号」外国人材制度の概要と基本理念
特定技能「1号」制度は、国内の労働力不足に対応するため、特定の産業分野において即戦力となる外国人材を受け入れるための在留資格です。この制度は、単なる労働力の補充に留まらず、外国人材が日本社会の一員として活躍し、共生できる社会の実現を目指すという基本理念に基づいています。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 | 技能実習 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 人手不足分野での即戦力確保 | 熟練した技能を持つ人材の確保 | 開発途上国への技能移転 |
| 在留期間 | 通算最長5年 | 上限なし(更新可能) | 最長5年 |
| 求められる技能水準 | 相当程度の知識または経験(即戦力レベル) | 熟練した技能(高度な専門性) | 一定の技能(OJTによる習得) |
| 日本語能力 | 日常会話レベル(N4相当) | 試験免除 | 日常会話レベル(N4相当) |
| 家族帯同 | 原則不可 | 可能(配偶者・子) | 原則不可 |
| 転職の可否 | 同一分野内での転職は可能 | 同一分野内での転職は可能 | 原則不可 |
制度創設の背景にある日本の社会課題と「1号」の役割
特定技能制度が2019年4月に創設された背景には、少子高齢化の進展による深刻な生産年齢人口の減少があります。特に、中小・小規模事業者においては人手不足が経営上の大きな課題となっており、国内での人材確保だけでは事業の維持・成長が困難な状況に直面しています[1]。
このような社会課題を解決するため、国内人材の確保に努めてもなお人材が不足する状況にある特定の産業分野に限り、外国人材の受け入れを可能にするのが本制度の目的です。その中で特定技能「1号」は、「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」を持つ人材と定義されており、特別な育成や訓練をせずとも、すぐに現場で活躍できる即戦力としての役割が期待されています。
「1号」外国人材の在留期間と制度が目指す社会
特定技能「1号」の在留期間は、通算で上限5年と定められています。更新は1年、6か月又は4か月ごとに行われます[2]。この「特定 技能 1 号 在留 期間」は、あくまで一時的な労働力不足への対応という側面を持つ一方で、外国人材が安定して日本で働き、生活するための基盤を提供する期間でもあります。
重要な点として、この在留期間が終了する「特定 技能 1 号 5 年 後」には、原則として帰国する必要があります。ただし、後述する特定技能「2号」へ移行することで、在留期間の上限なく日本で働き続ける道も開かれています。制度全体としては、外国人材を単なる「労働者」としてではなく、地域社会の重要な構成員として受け入れ、文化的な多様性を持つ共生社会を築くことを目指しています。そのため、受け入れ企業には生活支援などの手厚いサポートが義務付けられているのです。
「1号」外国人材が活躍できる特定産業分野と職種一覧
特定技能「1号」の在留資格は、国内での人材確保が特に困難とされる12の特定産業分野でのみ認められています。企業は、自社の事業がこれらの分野に該当するかを確認し、定められた業務内容の範囲内で外国人材を受け入れる必要があります。
対象となる12分野それぞれの業務内容と特徴
特定技能「1号」の対象となる12の産業分野と、それぞれの主な業務内容は以下の通りです。幅広い業種が対象となっており、様々な現場で外国人材の活躍が期待されています。
| 特定産業分野 | 主な業務内容 |
|---|---|
| ① 介護 | 身体介護(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等)、その他関連業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助等) |
| ② ビルクリーニング | 建築物内部の清掃(商業施設、オフィスビル、ホテル等の内部清掃) |
| ③ 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 | 鋳造、鍛造、金属プレス加工、機械加工、電気機器組立て、プラスチック成形等の製造・加工業務 |
| ④ 建設 | 型枠施工、左官、鉄筋施工、内装仕上げ、電気通信等の建設・土木関連業務 |
| ⑤ 造船・舶用工業 | 溶接、塗装、鉄工、電気機器組立て等の船舶の建造・修理に関する業務 |
| ⑥ 自動車整備 | 自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備 |
| ⑦ 航空 | 空港グランドハンドリング(地上走行支援、手荷物・貨物取扱等)、航空機整備(機体・装備品等の整備等) |
| ⑧ 宿泊 | フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供 |
| ⑨ 農業 | 耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)、畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等) |
| ⑩ 漁業 | 漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作等)、養殖業(養殖資材の製作・補修、養殖水産動植物の育成管理等) |
| ⑪ 飲食料品製造業 | 飲食料品製造業全般(酒類を除く飲食料品の製造・加工、安全衛生管理) |
| ⑫ 外食業 | 外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)。「特定 技能 1 号 外食」分野では、レストランやカフェ、ファストフード店などでの活躍が期待されます。 |
各分野における「1号」外国人材に求められる技能レベル
特定技能「1号」の外国人材に求められるのは、「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」です。これは、特別な訓練を受けなくても、担当する業務をすぐに遂行できるレベルを指します。いわば、現場の即戦力として期待される水準です。
この技能レベルは、各産業分野を所管する省庁が定める「技能評価試験」に合格することで証明されます。例えば、外食業であれば調理や接客に関する知識・スキルを問う試験、介護分野であれば介護技能と介護日本語に関する試験が実施されます。この試験に合格することが、特定技能「1号」の在留資格を得るための必須条件の一つとなっています。
「1号」外国人材を受け入れる企業側に求められる主な要件と義務
特定技能「1号」の外国人材を受け入れる企業(受入れ機関)は、外国人材が安定して働き、日本で安心して生活できるよう、様々な基準を満たし、支援を行う義務を負います。これらは法令で定められた要件であり、遵守することが不可欠です。
C
| 支援項目 | 概要 | 企業側の主な負担 |
|---|---|---|
| 事前ガイダンスの提供 | 雇用契約、日本での生活情報などを説明 | 情報提供、説明時間 |
| 出入国時の送迎 | 空港等への送迎 | 交通費、人件費 |
| 住居確保・生活契約支援 | 住居確保、銀行口座開設、携帯契約等の支援 | 連帯保証、社宅提供、手続き補助 |
| 生活オリエンテーション | 日本のルール、マナー、公共機関利用法などを説明 | 情報提供、説明時間 |
| 公的手続等への同行 | 役所での手続き、社会保障、税金等の手続き補助 | 同行時間、手続き補助 |
| 日本語学習の機会提供 | 日本語教室や教材の情報提供、入学手続き補助 | 情報提供、手続き補助 |
| 相談・苦情への対応 | 職業・生活上の相談に多言語で対応 | 相談対応時間、通訳費用 |
| 日本人との交流促進 | 地域のイベント参加、交流の場の提供 | 情報提供、イベント参加費用補助 |
| 転職支援(企業都合の場合) | 雇用契約解除時の次の受入れ先探し支援 | 情報提供、紹介活動 |
| 定期的な面談の実施 | 本人・上司と定期面談し、労働状況を確認 | 面談時間、記録作成 |
受入れ機関(企業)に求められる基準と体制構築のポイント
企業が外国人材を受け入れるためには、以下のような基準を満たす必要があります。
- 労働・社会保険・租税に関する法令の遵守: 労働基準法や最低賃金法などを守り、社会保険への加入義務を果たすこと。
- 外国人材と日本人労働者の同等以上の報酬: 同じ業務に従事する日本人と同等額以上の報酬を支払うこと。
- 外国人材の中長期的な在留を不安定にさせない経営基盤: 事業が安定的・継続的であり、倒産のリスクが低いこと。
- 外国人支援体制の確保: 後述する支援計画を適切に実施できる体制があること。
特に重要なのが「外国人支援体制」です。自社で支援体制を構築するのが難しい場合、出入国在留管理庁長官の登録を受けた「登録支援機関」に支援計画の全部または一部の実施を委託することができます。多くの企業、特に初めて外国人材を受け入れる企業では、専門知識を持つ登録支援機関のサポートを活用するのが一般的です。
しかし、どの支援機関が自社の業種や地域、求める人材の国籍に合っているかを見極めるのは容易ではありません。自社の状況に最適な支援機関を見つけるためには、「外国人採用ポータル」のようなマッチングサービスを活用するのも有効な手段です。こうしたサービスでは、地域(例:熊本、福岡、千葉、愛知、岐阜)や業種、在留資格などの条件で支援機関を検索・比較し、無料で相談できます。当社の調査によれば、多くの採用企業が「信頼できる機関を比較しづらい」という課題を抱えており、専門ポータルは情報収集から初回接点づくりまでをスムーズに進める手助けとなります。
「1号」外国人材への支援義務の内容と費用負担に関する注意点
受入れ機関には、特定技能1号外国人に対して、職業生活上、日常生活上、社会生活上の支援を行うことが義務付けられています。この支援計画には、以下の10項目が含まれます[3]。
- 事前ガイダンスの提供: 雇用契約内容、日本での活動内容、入国手続きなどに関する情報提供。
- 出入国する際の送迎: 空港等への出迎えと、帰国時の空港等への見送り。
- 住居確保・生活に必要な契約支援: 連帯保証人になる、社宅を提供するなどの住居確保支援や、銀行口座開設、携帯電話契約等の支援。
- 生活オリエンテーションの実施: 日本のルールやマナー、公共機関の利用方法、災害時の対応などの説明。
- 公的手続等への同行: 必要に応じて、住居地や社会保障、税などの手続きに同行し、書類作成を補助。
- 日本語学習の機会の提供: 日本語教室やオンライン学習教材などの情報提供、入学手続きの補助。
- 相談・苦情への対応: 職業生活や日常生活上の相談・苦情に対し、適切な言語で対応し、必要な助言や指導を行う。
- 日本人との交流促進: 地域のイベントや自治会への参加を促し、日本人との交流の場を設ける。
- 転職支援: 受入れ側の都合で雇用契約を解除する場合の、次の受入れ先を探す手伝い。
- 定期的な面談の実施: 外国人材本人とその上司等と定期的に面談し、労働基準法違反などがないかを確認。
⚠️ 注意:これらの支援にかかる費用は、原則として受入れ機関が負担しなければなりません。住居の保証金や仲介手数料などを外国人材本人に負担させることは認められていません。
「1号」外国人材が日本で働くための主な条件と資格取得の流れ
特定技能「1号」の在留資格を得るためには、外国人材自身も一定の要件を満たす必要があります。主に、業務に必要な技能水準と、日本で生活するための日本語能力が問われます。ここでは、資格取得までの具体的な流れを解説します。
技能水準と日本語能力を証明する試験の要件
特定技能「1号」として認められるためには、原則として以下の2つの試験に合格する必要があります。これが、基本的な「特定 技能 1 号 と は」何かを定義づける要件です。
- 技能評価試験: 各特定産業分野の業務に必要な知識や経験(技能水準)を測るための試験です。試験内容は分野ごとに異なり、それぞれの業務を遂行できるかどうかが判断されます。
- 日本語能力試験: 日本での生活や業務に支障がないレベルの日本語能力を証明するための試験です。以下のいずれかに合格する必要があります。
- 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic): 「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」を測るテスト。
- 日本語能力試験(JLPT): N4以上に合格すること。N4は「基本的な日本語を理解することができる」レベルとされています。
ただし、介護分野については、これらに加えて「介護日本語評価試験」への合格も必要となります。
過去の在留資格(技能実習など)からの移行条件と注意点
日本に既に在留している外国人が、特定技能「1号」へ移行するケースも多くあります。特に多いのが「技能実習」からの移行です。
技能実習制度の「技能実習2号」を良好に修了した外国人材は、大きなメリットがあります。技能実習で習得した技能と、これから従事する特定技能1号の業務に関連性が認められる場合、前述の技能評価試験と日本語能力試験の両方が免除されます[2]。
「良好に修了」とは、技能実習を計画通りに2年10カ月以上終えていることを指します。また、「関連性」の判断は、従事していた技能実習の職種・作業と、特定技能で従事する業務分野が一致するかどうかで決まります。このルートは、既に日本の職場環境や生活に慣れている人材を即戦力として確保できるため、企業にとっても非常に魅力的です。
「1号」外国人材として日本に入국し就労するまでの申請プロセス
海外にいる外国人を新たに呼び寄せる場合、または国内で在留資格を変更する場合、手続きの流れは異なりますが、主なステップは以下のようになります。
- 人材の募集・採用活動: 受入れ機関が、海外または国内で候補者を探し、採用面接を行います。
- 雇用契約の締結と支援計画の策定: 採用が決定したら、受入れ機関と外国人材の間で特定技能雇用契約を結びます。同時に、前述の10項目を含む支援計画を策定します。
- 在留資格(変更・認定)許可申請: 必要な書類を揃え、地方出入国在留管理局に在留資格の申請を行います。(海外から呼び寄せる場合は「在留資格認定証明書交付申請」、国内で変更する場合は「在留資格変更許可申請」)
- 在留資格認定証明書の交付・査証(ビザ)申請: (海外からの場合)証明書が交付されたら、本国の日本大使館・領事館で査証を申請します。
- 入国・就労開始: 査証が発給され、日本に入国。受入れ機関による生活オリエンテーション等を経て、就労を開始します。
このプロセスには数ヶ月を要することが一般的であり、計画的な準備が求められます。
特定分野の技能を持つ「1号」と技能実習・特定技能「2号」制度との違い
外国人材の受け入れ制度には、特定技能「1号」の他に「技能実習」や特定技能「2号」があります。これらの制度は目的や要件が異なるため、その違いを正しく理解することが、自社に最適な人材活用方法を選択する上で重要です。
在留期間・家族帯同・技能水準における各制度の比較
各制度の主な違いを比較すると、その位置づけが明確になります。特に、在留期間、家族の帯同可否、求められる技能レベルが大きな相違点です。
| 項目 | 技能実習 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 日本の技能・技術・知識の移転による国際貢献 | 人手不足分野における労働力の確保 | 人手不足分野における熟練した労働力の確保 |
| 在留期間 | 最長5年 | 通算で上限5年 | 上限なし(更新可) |
| 技能水準 | 実習を通じて習得 | 相当程度の知識・経験(即戦力レベル) | 熟練した技能(現場監督レベル) |
| 家族帯同 | 不可 | 不可 | 可能(配偶者、子) |
| 転職の可否 | 原則不可 | 同一分野内であれば可能 | 同一分野内であれば可能 |
このように比較すると、技能実習が「育成」を目的としているのに対し、特定技能は「労働力」としての側面が強いことがわかります。また、特定技能の中でも「1号」と「2号」では、求められる技能水準や待遇に大きな差があります。「2号」はより専門性が高く、長期的なキャリア形成を視野に入れた在留資格であり、技能レベルで言えば「2号」が「1号」よりも上位の資格となります。
「1号」から「2号」への移行条件とキャリアパス
特定技能「1号」で5年間就労した人材にとって、その後のキャリアパスとして重要な選択肢となるのが、特定技能「2号」への移行です。この「特定 技能 1 号 から 2 号 へ」のステップアップは、外国人材が日本で長く活躍するための道筋となります。
2号へ移行するための主な条件は以下の通りです。
- 対象分野であること: 2号の対象となる特定産業分野で就労していること。当初は建設、造船・舶用工業の2分野のみでしたが、2023年6月の閣議決定により、介護を除く9分野が追加され、対象が大幅に拡大しました[4]。
- 2号の技能評価試験に合格すること: それぞれの分野で定められた、より高度な技能を証明する試験に合格する必要があります。これは、現場の作業を管理・監督できるような熟練レベルが求められます。
特定技能2号へ移行できれば、在留期間の更新に上限がなくなり、要件を満たせば配偶者や子供を日本に呼び寄せることも可能になります。これは、優秀な人材に長期的に定着してもらう上で、企業にとっても大きなメリットと言えるでしょう。
「1号」外国人材の受け入れで企業が得られるメリットと潜在的課題
特定技能「1号」の外国人材を受け入れることは、企業に多くのメリットをもたらしますが、同時に準備しておくべき課題も存在します。メリットを最大化し、リスクを最小限に抑えるためには、両側面を正しく理解することが重要です。
人手不足解消と企業成長への貢献事例
最大のメリットは、何と言っても即戦力となる人材を確保し、深刻な人手不足を解消できる点です。特に、若年層の労働力確保が難しい地方の中小企業や、特定の専門技能が必要な現場において、特定技能外国人は事業継続の鍵となり得ます。
例えば、飲食業では調理や接客の経験を持つ人材が加わることでサービスの質が向上し、建設業では熟練した技能を持つ人材が工期の遅れを防ぐなど、直接的に生産性向上に貢献します。また、外国人材が持つ母国とのネットワークを活かし、海外展開の足がかりとすることで、新たな事業成長の機会を創出した事例もあります。
多文化共生による組織活性化とダイバーシティへの影響
外国人材の受け入れは、単なる労働力確保に留まりません。異なる文化や価値観を持つ人材が組織に加わることで、社内のコミュニケーションが活性化し、新たな発想やイノベーションが生まれやすくなります。
日本人従業員が外国人材と共に働く中で、異文化への理解を深め、グローバルな視点を身につけるきっかけにもなります。これは、組織全体のダイバーシティ(多様性)を推進し、変化に強いしなやかな企業文化を育む上で非常に有益です。多様な人材がそれぞれの能力を最大限に発揮できる環境は、企業の持続的な成長にとって不可欠な要素です。
受け入れで考慮すべき課題とその対策・準備
一方で、受け入れにはいくつかの課題も伴います。これらを事前に認識し、対策を講じることが円滑な受け入れの成功につながります。
- 言語・文化の壁: 日常会話はできても、業務上の専門用語や日本特有の商習慣への理解には時間がかかる場合があります。誤解から生じるミスコミュニケーションがトラブルの原因となることもあります。
- 支援体制の構築とコスト: 法的に定められた支援義務を果たすためには、専門の担当者を配置したり、登録支援機関に委託したりする必要があります。これには当然、人件費や委託費用といったコストが発生します。
- 社内の受け入れ態勢: 外国人材を受け入れることに対し、既存の日本人従業員が戸惑いや不安を感じる可能性もあります。なぜ外国人材が必要なのか、会社としての方針を丁寧に説明し、社内全体の理解を得るプロセスが重要です。
これらの課題への対策として、業務マニュアルの多言語化や「やさしい日本語」の活用、異文化理解研修の実施、相談窓口の設置などが挙げられます。自社だけでの対応が難しい場合は、専門家の力を借りるのが賢明です。例えば、新規の支援機関を探す際、「営業スタッフがいない・足りない」「Webからの集客方法が分からない」といった悩みを抱える支援機関も少なくありません。一方で採用企業は信頼できる機関を探したい。こうした双方のニーズを繋ぐのが「外国人採用ポータル」のようなサービスです。発注確度の高い案件だけをマッチングする仕組みは、採用企業にとっても効率的に質の高い支援機関と出会える機会となります。
特定分野の技能を持つ「1号」外国人材制度に関するQ&Aと今後の展望
最後に、特定技能「1号」制度に関して企業担当者様からよく寄せられる質問にお答えするとともに、制度の最新動向と今後の展望について解説します。制度は社会情勢に合わせて変化していくため、常に最新の情報を把握しておくことが重要です。
「1号」外国人材の受け入れ・申請でよくある質問
Q1. 受け入れを決定してから、実際に就労を開始するまでどのくらいの期間がかかりますか?
海外から新たに呼び寄せる場合、申請書類の準備から在留資格認定証明書の交付、現地でのビザ申請などを経て、入国までには一般的に4ヶ月から6ヶ月程度かかります。国内にいる留学生などを採用し、在留資格を変更する場合は、2ヶ月から3ヶ月程度が目安ですが、申請内容や時期によって変動します。
Q2. 特定技能「1号」の外国人は、自由に転職できますか?
はい、同一の業務区分内であれば、転職は可能です。例えば、「外食業」分野でA社に勤務していた人材が、同じく「外食業」のB社に転職することは認められています。ただし、分野を越えた転職(例:「外食業」から「介護」へ)はできません。企業側は、採用した人材が定着してくれるような魅力的な職場環境を提供することが求められます。
Q3. 報酬の額はどのように決めればよいですか?
特定技能外国人への報酬額は、同じ業務に従事する日本人労働者と同等額以上であることが法律で義務付けられています。経験や能力などを考慮し、日本人と同等の基準で公正に決定する必要があります。単に最低賃金を上回っていれば良いというわけではない点に注意が必要です。
制度の最新情報と将来的な改正動向
特定技能制度は、日本の労働市場の状況に応じて、常に見直しが行われています。近年で最も大きな動きは、前述の通り、2023年6月に特定技能2号の対象分野が大幅に拡大されたことです。これにより、「特定 技能 1 号 5 年 後」のキャリアパスが多様化し、優秀な人材がより長く日本で活躍できる道が拓かれました。
また、政府は現在、技能実習制度と特定技能制度のあり方について抜本的な見直しを進めています。技能実習制度を廃止し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度を創設する方向で議論が進んでおり、将来的には特定技能制度との連携がさらに強化される可能性があります[5]。この新制度では、本人の意向による分野の変更(転職)が一定の要件下で認められる見込みであり、より柔軟な働き方が可能になることが期待されています。
このように、外国人材の受け入れを取り巻く環境は常に変化しています。企業としては、制度の最新動向を注視しつつ、自社の人材戦略にどう活かしていくかを継続的に検討していくことが不可欠です。信頼できる支援機関や専門家と連携し、適切な情報収集を行うことが成功の鍵となるでしょう。
外国人材の受け入れは、もはや特別な選択肢ではありません。これからの企業成長を支える重要な経営戦略の一つです。まずは、自社の状況に合った支援機関を探すことから始めてみてはいかがでしょうか。
よくある質問
特定技能1号と2号の違いは何ですか?
特定技能1号と2号の主な違いは、在留期間、家族の帯同可否、求められる技能水準です。1号は通算最長5年の在留期間で家族の帯同は認められず、「相当程度の知識または経験」が求められるのに対し、2号は在留期間の上限がなく、家族帯同も可能で「より高度な技能」が求められます。
特定技能1号は何ができますか?
特定技能1号の在留資格を持つ外国人は、日本国内の12の特定産業分野で「相当程度の知識または経験を必要とする技能」を要する業務に就くことができます。具体的には、介護、建設、農業、外食業などで即戦力として、特別な育成なしに現場で働くことが期待されています。
特定技能1号とは何ですか?
特定技能1号とは、国内で人材確保が困難な12の特定産業分野において、即戦力となる外国人材を受け入れるための在留資格です。この資格を持つ外国人は、「相当程度の知識または経験を必要とする技能」があると認められ、特別な訓練なしに現場で働くことが期待されます。
特定技能1号と2号のどちらが上ですか?
特定技能1号と2号は、制度の目的や求められる技能レベルが異なりますが、一般的には2号の方が「上位」と位置付けられます。2号は1号よりも「より高度な技能」が求められ、在留期間に上限がなく、家族帯同も可能となるため、キャリアパスとして1号から2号への移行が用意されています。