この記事のポイント
- 特定技能制度は、深刻な人手不足に悩む12の特定産業分野で即戦力となる外国人材を受け入れるための在留資格制度です。
- 飲食業では「外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)」、介護業では「身体介護等」が特定技能の対象職種となります。
- 外国人材を受け入れる企業は、法令遵守や外国人支援計画の策定・実施といった義務を負い、支援体制の構築が必要です。
- 自社での支援が難しい場合、登録支援機関への委託が可能で、「外国人採用ポータル」のようなマッチングサービスで効率的に探せます。
- 特定技能には在留期間や家族帯同の可否が異なる「1号」と「2号」があり、技能実習制度とは目的や転職の可否が異なります。
深刻な人手不足に直面している飲食業や介護業の経営者、人事担当者の皆様へ。特定技能制度の活用は、事業の持続的な成長に向けた重要な一手となり得ます。しかし、「自社の業務は対象になるのか?」「どの職種で外国人材を受け入れられるのか?」といった疑問をお持ちではないでしょうか。
本記事では、特定技能制度の全体像から、飲食業・介護業をはじめとする全12分野の具体的な職種一覧、仕事内容までを網羅的に解説します。さらに、企業が満たすべき受け入れ条件、採用までの流れ、注意点も詳しく説明し、制度活用への第一歩を力強く支援します。
「特定技能制度」を活用し人手不足を解消するメリット

特定技能制度は、国内での人材確保が困難な状況にある特定の産業分野において、即戦力となる外国人材を直接雇用できるため、深刻な人手不足に悩む企業にとって極めて有効な解決策です。この制度は、2019年4月に創設された在留資格「特定技能」に基づき、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れることを目的としています。[1]
中小企業がこの制度を利用する最大のメリットは、フルタイムの正社員として即戦力人材を確保できる点にあります。技能実習制度とは異なり、労働力として明確に位置づけられているため、日本人従業員と同様に業務に従事してもらうことが可能です。これにより、現場の負担軽減はもちろん、サービスの質を維持・向上させ、事業拡大に向けた体制を整えることにも繋がります。
また、特定技能1号の在留期間は通算で上限5年ですが、熟練した技能が求められる特定技能2号へ移行できれば、在留期間の更新に上限がなくなり、長期的な雇用が実現します。家族の帯同も可能になるため、外国人材は日本で腰を据えて働くことができ、企業にとっては安定した労働力の確保と組織への定着が期待できるのです。
【飲食・介護経営者必見】特定技能外国人を受け入れ可能な「職種」一覧

特定技能では、飲食業や介護業を含む12の特定産業分野で外国人材の受け入れが可能で、それぞれの分野で従事できる具体的な業務区分が定められています。自社がどの分野に該当し、どのような業務を任せられるのかを正確に把握することが、制度活用の第一歩です。法務省が公開している特定産業分野及び業務区分の一覧を基に、最新の情報を確認することが重要です。
以下に、特定技能1号の対象となる全12分野を一覧で示します。特に読者の皆様が関心の高い「外食業」「宿泊業」「介護」については、続く項目で詳しく解説します。
| 分野 | 主な職種・業務内容 |
|---|---|
| 介護 | 身体介護等(訪問系サービスは除く) |
| ビルクリーニング | 建築物内部の清掃 |
| 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 | 鋳造、鍛造、金属プレス加工、機械加工、電気機器組立てなど |
| 建設 | 型枠施工、左官、鉄筋施工、内装仕上げなど |
| 造船・舶用工業 | 溶接、塗装、鉄工、電気機器組立てなど |
| 自動車整備 | 自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備 |
| 航空 | 空港グランドハンドリング、航空機整備 |
| 宿泊 | フロント、企画・広報、接客、レストランサービスなど |
| 農業 | 耕種農業全般、畜産農業全般 |
| 漁業 | 漁業(漁具製作・補修、漁労作業など)、養殖業(育成管理・収獲など) |
| 飲食料品製造業 | 飲食料品製造業全般(酒類を除く) |
| 外食業 | 飲食物調理、接客、店舗管理など |
- 介護
- ビルクリーニング
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業(旧:素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業が2022年に統合)
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
これらの分野は、国内で特に人手不足が深刻な業種が選定されています。今後、社会情勢の変化に応じて「特定技能 職種 追加」として新たな分野が加わる可能性もありますので、定期的に最新の情報をチェックすることをお勧めします。
外食業分野で受け入れ可能な特定技能の職種
外食業分野では、レストラン、カフェ、持ち帰り・配達飲食サービス業など、幅広い業態で特定技能外国人を受け入れることが可能です。対象となる業務は「外食業全般」とされており、特定の職種に限定されず、店舗運営に関わる様々な業務を任せることができます。
具体的には、以下の業務内容が含まれます。
- 飲食物調理: 食材の仕込み、加熱調理、非加熱調理、盛り付けなど、厨房内での一連の調理業務。
- 接客: お客様の案内、オーダーテイク、料理の提供、会計、予約受付などのホール業務。
- 店舗管理: 食材の発注・在庫管理、店舗の清掃、レジ締め、スタッフのシフト管理補助など、店舗運営に関わる管理業務。
このように、調理担当、ホール担当といった区分けなく、店舗運営に必要な業務を横断的に担ってもらうことが可能です。ただし、風俗営業関連の店舗や、客の接待を伴う飲食店(スナック、キャバクラなど)での業務は対象外となるため注意が必要です。
宿泊業分野で受け入れ可能な特定技能の職種
宿泊業分野では、ホテルや旅館などにおいて、フロント、企画・広報、接客、レストランサービスといった宿泊サービスの提供に係る業務全般で特定技能外国人を受け入れることができます。人手不足が慢性化している宿泊業界にとって、多様な業務を担える人材の確保は事業継続の鍵となります。
具体的な業務内容は以下の通りです。
- フロント業務: 宿泊客の予約受付、チェックイン・チェックアウト対応、会計、コンシェルジュサービスなど。
- 企画・広報業務: 宿泊プランの企画立案、ウェブサイトやSNSでの情報発信、プロモーション活動の補助など。
- 接客業務: ロビーでの出迎え・見送り、客室への案内、館内施設の説明、観光案内など。
- その他の付随業務: 客室の清掃・ベッドメイキング、備品管理など。
宿泊業も外食業と同様に、特定の職種に限定されることなく、宿泊施設の運営に必要な幅広い業務を任せることができ、柔軟な人員配置が可能になります。
介護分野で受け入れ可能な特定技能の職種
介護分野では、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホームといった介護施設等において、利用者の心身の状況に応じた介護業務に従事する人材を受け入れることができます。深刻な人材不足に悩む介護現場において、即戦力となる外国人材は非常に貴重な存在です。
対象となる主な業務は「身体介護」及びそれに付随する支援業務です。具体的には以下のような業務が含まれます。
- 身体介護業務: 食事、入浴、排泄、着替え、移乗などの介助。
- その他支援業務: レクリエーションの企画・実施、機能訓練の補助、利用者とのコミュニケーション、介護記録の作成など。
⚠️ 注意:訪問系のサービス(訪問介護など)は、特定技能の対象業務には含まれません。 あくまで施設内での介護業務が対象となります。受け入れにあたっては、事業所の人員配置基準において、特定技能外国人を常勤の介護職員として算定することが可能です。
その他の分野における特定技能の職種
外食業、宿泊業、介護業以外にも、日本の産業を支える重要な分野で特定技能外国人の受け入れが進んでいます。それぞれの分野で専門的な業務が定められており、企業のニーズに応じた人材確保が可能です。
以下に、その他の9分野と主な業務内容を簡潔に紹介します。
- ビルクリーニング: 建築物内部の清掃
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業: 鋳造、鍛造、金属プレス加工、機械加工、電気機器組立てなど18の業務区分
- 建設: 型枠施工、左官、鉄筋施工、内装仕上げなど18の業務区分(2024年4月時点)
- 造船・舶用工業: 溶接、塗装、鉄工、電気機器組立てなど6の業務区分
- 自動車整備: 自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備
- 航空: 空港グランドハンドリング(地上走行支援、手荷物・貨物取扱など)、航空機整備
- 農業: 耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別など)、畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別など)
- 漁業: 漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁労作業など)、養殖業(養殖資材の製作・補修、養殖水産動植物の育成管理・収獲など)
- 飲食料品製造業: 飲食料品製造業全般(酒類を除く)
これらの分野では、専門的な技能試験に合格した人材を受け入れることになります。自社の事業内容がどの分野のどの業務区分に該当するかを正確に確認することが重要です。最新の特定技能の職種一覧は、法務省や出入国在留管理庁のウェブサイトで確認できます。
特定技能外国人を受け入れるために必要な企業の「条件」

特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、労働関連法規や社会保険関連法規を遵守していることはもちろん、外国人材が日本で安定して働き、生活できるような支援体制を構築する義務があります。これらの条件を満たさなければ、外国人材の雇用は認められません。
受け入れを検討する企業は、自社がこれらの要件を満たしているか、または満たすための準備ができるかを事前に確認する必要があります。体制構築には時間と労力がかかるため、計画的な準備が不可欠です。
| 項目 | 自社で支援する場合 | 登録支援機関に委託する場合 |
|---|---|---|
| 支援計画の策定 | 企業が自ら策定 | 登録支援機関が策定を支援 |
| 支援の実施責任 | 企業が直接実施 | 登録支援機関が代行(企業は監督) |
| 言語対応 | 外国人が理解できる言語での対応体制が必要 | 登録支援機関が多言語で対応 |
| 専門知識 | 出入国管理法や労働法規に関する知識が必要 | 登録支援機関が専門知識を持つ |
| 企業側の負担 | 支援業務全般にわたる時間と労力が発生 | 支援業務の負担を大幅に軽減 |
| 費用 | 支援担当者の人件費、関連経費 | 登録支援機関への委託費用が発生 |
企業が満たすべき主な要件と義務
特定技能外国人を受け入れる企業は、単に労働力を確保するだけでなく、外国人材の生活全般をサポートする責任を負います。主な要件と義務は以下の通りです。
- 適切な雇用契約の締結: 外国人材と直接、適切な条件(報酬額が日本人と同等以上であること等)で雇用契約を締結する必要があります。
- 法令遵守: 労働基準法、労働安全衛生法、社会保険・税金に関する法令などを遵守していること。過去5年以内に出入国管理法や労働関連法令に関する不正行為がないことも求められます。
- 外国人支援体制の確保: 受け入れる外国人が十分に理解できる言語(母国語など)で支援を実施できる体制が必要です。
- 1号特定技能外国人支援計画の策定と実施: 事前ガイダンスの提供、出入国時の送迎、住居確保の支援、生活オリエンテーション、公的手続きへの同行、日本語学習の機会提供、相談・苦情への対応など、10項目にわたる支援計画を策定し、確実に実施する義務があります。[2]
特に「1号特定技能外国人支援計画」の策定と実施は、受け入れ企業の最も重要な義務の一つです。この支援を自社で全て行うことが難しい場合は、次の項目で説明する「登録支援機関」に委託することができます。
登録支援機関の活用メリットと役割
自社で外国人材への支援体制をすべて構築するのが難しい中小企業にとって、出入国在留管理庁長官の登録を受けた「登録支援機関」に支援業務を委託することが、現実的かつ効率的な選択肢となります。登録支援機関は、企業に代わって「1号特定技能外国人支援計画」の全ての項目を実施する専門機関です。
登録支援機関を活用する主なメリットは以下の通りです。
- 支援体制構築の負担軽減: 専門知識を持つスタッフや多言語対応が可能な人材を自社で確保する必要がなくなり、本来の事業に集中できます。
- 法令遵守と適正な支援の実施: 複雑な制度や法律に関する専門知識を持つため、法令を遵守した適切な支援を確実に実施でき、コンプライアンス上のリスクを低減できます。
- 外国人材の定着率向上: 生活上の悩みや職場でのトラブルなど、専門的なカウンセリングやサポートを提供することで、外国人材の不安を解消し、早期離職を防ぎ、職場への定着を促進します。
しかし、数多くの登録支援機関の中から、自社の業種や地域(例えば、千葉の工場や愛知、福岡、熊本など)に精通し、信頼できるパートナーを見つけ出すのは容易ではありません。そこで役立つのが、支援機関の比較マッチングポータルです。
例えば、テクロ株式会社が運営する「外国人採用ポータル」は、監理団体・登録支援機関・外国人紹介会社と採用企業をダイレクトにつなぐサービスです。自社調査によると、このポータルでは、地域、在留資格、業種、国籍といった条件で支援機関を検索・比較し、無料で相談できます。専任スタッフが案件内容を確認・審査した上でマッチングを行うため、発注確度の高い商談が期待できるのが特徴です。
以下に、特定技能の受け入れをサポートする代表的なサービスを紹介します。各社特色があるため、自社のニーズに合ったサービスを検討することが重要です。
| サービス名 | 運営会社 | 特徴 |
|---|---|---|
| マイナビグローバル 特定技能人材紹介サービス | 株式会社マイナビ | 豊富な外国人材データベースと多言語対応のサポート体制が強み。人材紹介からビザ申請サポートまで一貫して支援。 |
| スマイルビザ 特定技能ビザ申請代行 | 行政書士法人スマイル | 行政書士法人が運営しており、特定技能ビザ申請の専門知識が豊富。迅速かつ正確な手続き代行に定評がある。 |
| アデコ 特定技能人材サービス | アデコ株式会社 | 世界的な人材サービス企業。幅広い業種・職種に対応し、採用後の定着支援プログラムも充実。 |
| HNG 特定技能人材紹介サービス | 株式会社HNG | 特定技能分野に特化した人材紹介が強み。きめ細やかなヒアリングによる精度の高いマッチングを目指す。 |
| FMSネット 特定技能支援サービス | 株式会社FMSネット | 受け入れに関するコンサルティングや申請手続き支援に強み。制度に関する情報提供や受け入れ後のフォローアップも手厚い。 |
特定技能外国人を受け入れるまでの基本的な「流れ」と期間

特定技能外国人の受け入れは、人材の募集・採用から、在留資格の申請、そして就労開始まで一連のステップがあり、全体で4ヶ月から半年程度の期間を見込むのが一般的です。特に海外から人材を呼び寄せる場合は、国内在住者を受け入れるよりも手続きに時間がかかる傾向があります。スムーズな受け入れを実現するためには、各ステップの内容と所要期間を理解し、計画的に進めることが不可欠です。特定技能の職種変更を希望する場合も、新たな申請手続きが必要となるため、事前の準備が重要です。
採用から在留資格申請までのステップ
外国人材の採用から在留資格の申請までは、大きく分けて5つのステップで進みます。それぞれの段階で必要な手続きと準備を丁寧に行うことが、後のトラブルを防ぐ鍵となります。
- 求人と募集活動
国内外の人材紹介会社や、ハローワーク、自社の採用サイトなどを通じて求人情報を公開します。求める人物像や業務内容、労働条件を明確に提示することが重要です。 - 面接・採用試験の実施
応募者とオンラインまたは対面で面接を行います。日本語能力や技能レベルを確認するとともに、日本での就労意欲や生活への適応力なども見極めます。特定技能の在留資格を得るには、日本語能力試験(JLPT N4以上など)と各分野の技能評価試験に合格している必要があります。 - 雇用契約の締結と事前ガイダンス
内定者と雇用契約を締結します。労働条件や業務内容、報酬などについて、本人が十分に理解できる言語で説明し、書面で交付します。同時に、日本での生活や労働に関する事前ガイダンスを実施します。 - 1号特定技能外国人支援計画の策定
受け入れ企業は、前述の10項目にわたる支援計画を策定します。登録支援機関に委託する場合は、この段階で委託契約を締結し、共同で計画を作成します。 - 在留資格関連の申請
必要な書類を準備し、地方出入国在留管理局へ申請します。
- 海外在住者の場合: 「在留資格認定証明書交付申請」を行います。証明書が交付された後、本人が現地の日本大使館・領事館でビザ(査証)を申請し、来日します。
- 国内在住者の場合: 技能実習生や留学生など、他の在留資格で既に日本にいる場合は、「在留資格変更許可申請」を行います。
これらの申請手続きは専門的な知識を要するため、行政書士や登録支援機関などの専門家に相談しながら進めるのが一般的です。
雇用後のサポート体制と定期的な報告義務
特定技能外国人の受け入れは、雇用契約を結び、就労を開始したら終わりではありません。企業側には、外国人が日本で安定して働き続けられるよう継続的にサポートするとともに、その状況を出入国在留管理庁に定期的に報告する義務があります。
雇用後の主な義務は以下の通りです。
- 支援計画の着実な実施: 策定した「1号特定技能外国人支援計画」に基づき、生活オリエンテーションの実施、住居探しのサポート、日本語学習機会の提供、定期的な面談などを継続的に行います。
- 定期的な届出義務: 四半期ごとに、出入国在留管理庁に対して以下の内容を届け出る必要があります。
- 特定技能外国人の受入れ状況(氏名、在留カード番号、活動日数など)
- 支援計画の実施状況
- 特定技能外国人の活動状況(給与の支払状況など)
- 随時の届出義務: 雇用契約の終了、新たな雇用契約の締結、支援計画の変更、支援の委託契約の終了・締結など、特定の事由が発生した際には、その都度14日以内に届け出る必要があります。
これらの報告義務を怠ると、指導や改善命令の対象となり、最悪の場合、特定技能外国人の受け入れができなくなる可能性もあります。安定した雇用関係を築き、制度を継続的に活用するためにも、誠実なサポートと正確な報告が不可欠です。
特定技能制度のよくある誤解と注意すべき「ポイント」

特定技能制度を円滑に活用するためには、在留資格の区分(1号・2号)や他の制度との違いを正確に理解し、外国人材を受け入れる上で特に注意すべき点を押さえておくことが重要です。制度に関する誤解は、採用計画の遅延や法令違反といったトラブルにつながりかねません。ここでは、特に重要なポイントを解説します。
特定技能1号と2号の違いとは?
特定技能の在留資格は、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類に区分されています。両者は在留期間や求められる技能水準、家族帯同の可否などが大きく異なります。それぞれの特徴を理解し、自社の長期的な人材計画と照らし合わせて検討することが大切です。特定技能1号の職種一覧は前述の通り12分野ですが、2号は対象分野が異なります。
以下に、1号と2号の主な違いをまとめます。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 目的 | 特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事 | 特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事 |
| 在留期間 | 通算で上限5年(1年、6ヶ月又は4ヶ月ごとに更新) | 上限なし(3年、1年又は6ヶ月ごとに更新) |
| 技能水準 | 試験等で確認(技能実習2号を良好に修了した者は試験等免除) | 試験等で確認 |
| 日本語能力水準 | 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認 | 日本語能力の試験は不要 |
| 家族の帯同 | 原則として不可 | 要件を満たせば可能(配偶者、子) |
| 支援の要否 | 特定技能所属機関又は登録支援機関による支援が必要 | 支援は不要 |
| 対象分野 | 12分野(介護、ビルクリーニング、製造業、建設、造船、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造、外食) | 11分野(介護を除く11分野)[3] |
特定技能2号は、1号を修了した外国人材がより高いレベルの技能を活かして長期間日本で活躍するためのステップアップと位置づけられています。 2号に移行できれば、企業は熟練した人材を永続的に確保できる可能性が生まれます。
他の在留資格(技能実習など)との比較
外国人材の受け入れ制度として、特定技能とよく比較されるのが「技能実習」制度です。両者は目的や制度設計が根本的に異なるため、その違いを明確に理解しておく必要があります。この違いを理解することで、自社のニーズに本当に合致する制度を選択できます。
主な違いは以下の通りです。
- 制度の目的:
- 技能実習: 日本で培った技能や技術、知識を開発途上地域等へ移転し、その国の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的とした国際貢献が主眼です。
- 特定技能: 国内の人材確保が困難な状況にある産業分野において、人手不足を補うための労働力の確保を目的としています。
- 転職の可否:
- 技能実習: 原則として、実習先(企業)の変更(転職)は認められていません。
- 特定技能: 同一の業務区分内であれば、転職が可能です。これにより、労働者はより良い条件を求めて移動することができ、企業側も常に労働環境の改善を意識する必要があります。
- 受け入れ方式:
- 技能実習: 監理団体を通じて受け入れる「団体監理型」が一般的です。
- 特定技能: 企業が外国人材と直接雇用契約を結びます。支援は登録支援機関に委託できます。
技能実習制度から特定技能制度への移行も可能です。「技能実習2号」を良好に修了した外国人は、技能実習で従事していた職種と関連性のある特定技能の分野・業務区分に移行する場合、技能試験と日本語能力試験が免除されます。このため、多くの企業が技能実習生を受け入れた後、特定技能へ切り替えて長期雇用を目指すケースが増えています。「技能実習 特定技能 職種一覧」で関連性を確認し、キャリアパスを計画することが、人材定着の鍵となります。
人手不足解消へ!自社に合った「特定技能」職種を見つける第一歩

本記事では、特定技能制度の全体像から、飲食業や介護業を中心とした具体的な職種の一覧、受け入れ企業の条件や手続きの流れ、注意点までを詳しく解説してきました。特定技能制度は、深刻化する人手不足を解消し、事業を前進させるための強力な選択肢です。
制度を最大限に活用するためには、まず自社の事業がどの特定産業分野に該当し、どの職種で外国人材の力を借りられるのかを正確に把握することから始まります。その上で、法令を遵守した受け入れ体制を整え、信頼できるパートナー(登録支援機関など)を見つけることが成功の鍵となります。
「何から手をつければいいか分からない」「自社に最適な支援機関の探し方が分からない」といったお悩みをお持ちの経営者や人事担当者の方も多いでしょう。そんな時は、専門家や専門サービスを頼るのが賢明です。
外国人採用ポータルは、監理団体・登録支援機関・外国人紹介会社と採用企業をつなぐ比較マッチングポータルです。全国47都道府県に対応しており、地域や業種、在留資格などの条件で自社にぴったりの支援機関を検索・比較し、無料で相談することができます。まずは情報収集の一環として、どのような支援機関があるのか調べてみることから始めてみてはいかがでしょうか。人手不足という大きな課題を乗り越え、事業の新たな成長フェーズに進むための第一歩を踏み出しましょう。
よくある質問
特定技能制度とは何ですか?
特定技能制度は、国内で人材不足が深刻な12の特定産業分野において、即戦力となる外国人材を受け入れるための在留資格制度です。この制度は、一定の専門性や技能を持つ外国人を直接雇用し、人手不足の解消と事業の持続的な成長を目的としています。
特定技能で受け入れ可能な職種は、具体的にどのようなものがありますか?
特定技能では、飲食業、介護業、宿泊業、建設業、農業など、全12の特定産業分野で外国人材の受け入れが可能です。それぞれの分野で、飲食物調理・接客、身体介護、フロント業務、建築物内部の清掃といった具体的な業務区分が定められています。
特定技能外国人を受け入れる企業には、どのような義務がありますか?
特定技能外国人を受け入れる企業は、法令遵守はもちろん、外国人材が安定して働き生活できる支援体制を構築する義務があります。具体的には、適切な雇用契約の締結、労働関連法令の遵守、そして事前ガイダンスや住居確保の支援などを含む「1号特定技能外国人支援計画」の策定と実施が求められます。
特定技能外国人の受け入れ支援は、自社で行う必要がありますか?
自社で特定技能外国人の支援体制を全て構築することが難しい場合、出入国在留管理庁長官の登録を受けた「登録支援機関」に支援業務を委託することが可能です。登録支援機関は、企業に代わって「1号特定技能外国人支援計画」の全ての項目を実施し、企業の負担を軽減します。
特定技能1号と2号の違いは何ですか?
特定技能1号は在留期間が通算で上限5年、原則として家族の帯同はできませんが、特定技能2号へ移行すると在留期間の更新に上限がなくなり、家族の帯同も可能になります。2号はより熟練した技能が求められ、長期的な日本での就労・生活が可能になる点が大きな違いです。
参考文献
- 特定技能ガイドブック — 出入国在留管理庁・厚生労働省
- 1号特定技能外国人支援に関する運用要領 — 出入国在留管理庁
- 特定技能制度における特定技能2号の対象分野の追加について — 出入国在留管理庁
