この記事のポイント
- 育成就労制度は、2024年6月に改正入管法が成立し、2027年4月1日に施行されます。
- 制度の目的は、従来の「国際貢献」から「人材育成」と「人材確保」へと大きく転換されます。
- 技能実習制度との主な違いは、一定条件下での転籍(転職)が可能になることや、監理団体が「監理支援機関」となるには新たな許可が必要な点です。
- 受け入れ企業には、育成就労計画の作成に加え、同種業務の日本人と同等以上の報酬の確保と、福利厚生の適正な取扱いが求められます。
- 本制度は3年間で外国人材を「特定技能1号」レベルまで育成することを目指しており、長期的なキャリアパスが明確化されます。
深刻化する国内の人手不足を背景に、外国人材の受け入れは多くの企業にとって重要な課題です。技能実習制度に代わる「育成就労制度」は、2027年4月1日に施行されます。この制度変更は、外国人材の採用を検討するすべての企業にとって避けては通れないテーマです。
特に、「新しい制度は一体いつから始まるのか?」という疑問は、多くの企業担当者が抱く関心事でしょう。本記事では、この「いつから」の問いに明確に答え、新制度の目的や技能実習制度からの具体的な変更点、企業が準備すべきことに関する最新情報を網羅的に解説します。
Q: 育成就労制度はいつから施行されますか?
A: 育成就労制度は、出入国在留管理庁のQ&Aによると、2027年4月1日に施行されます。2024年6月14日に育成就労制度の創設を盛り込んだ改正入管法が成立しました。
育成就労制度はいつから施行?最新動向と企業・外国人材への影響
育成就労制度の導入は、日本の外国人材受け入れ政策における歴史的な転換点です。企業や日本で働くことを希望する外国人材にとって、その施行時期と移行期の対応は非常に重要です。ここでは、制度が「いつから」始まるのか、その公式なスケジュールと新制度へ円滑に移行するために企業が今から準備すべきことについて詳しく解説します。

施行までのスケジュールと政府の発表
育成就労制度の施行は、2027年4月1日です。この制度の創設を含む出入国管理及び難民認定法(入管法)の改正案は、2024年6月14日に参議院本会議で可決し成立しました。これにより、技能実習制度を廃止し育成就労制度へ移行することが法的に確定しました。
| 準備事項 | 具体的な内容 | 留意点・重要性 |
|---|---|---|
| 社内体制の見直しと整備 | 賃金規程と福利厚生制度を確認し、同種業務の日本人と同等以上の報酬を確保。 | 不合理な差は外国人材の定着を阻害。早期の対応で信頼関係を構築。 |
| 育成就労計画の策定準備 | 3年間で習得させるスキル、OJT指導員、日本語学習支援方法などを具体的に検討。 | 計画の認定が必須。外国人材のキャリアパスを明確にし、育成効果を高める。 |
| 監理支援機関の選定 | 従来の監理団体に代わる支援機関の情報を収集し、信頼できるパートナーを選定。 | 支援機関との連携が原則必須。外国人材の保護・支援機能が強化される。 |
出入国在留管理庁の育成就労Q&Aによると、施行日は2027年4月1日です。運用ルールの詳細は最新の公式情報を確認してください。施行までの期間は、現行の技能実習制度が継続されますが、企業は新制度への移行を見据えた準備を早期に開始することが求められます。
新制度に関する最新情報を得るためには、以下の公的機関のウェブサイトを定期的に確認することが重要です。
- 育成就労制度 公式情報提供(出入国在留管理庁(法務省)): 制度の運用を直接所管する機関で、法令、手続きに関する公式情報が公開されます。
- 厚生労働省: 労働者の保護や雇用に関する政策など、労働条件や人権保護に関する情報が提供されます。
制度移行期の注意点と企業が準備すべきこと
新制度への移行期間中、企業が最も注意すべき点は、現在雇用している技能実習生の処遇です。新制度の施行に伴い、技能実習生には経過措置が設けられています。2027年4月1日時点で来日済みの技能実習生など、経過措置の対象者は原則として認定済みの技能実習を継続できます。企業は個々の実習計画と在留資格を確認して対応する必要があります。
企業が新制度にスムーズに対応するために、今から準備すべきことは以下の通りです。
- 社内体制の見直しと整備: 同種業務の日本人と同等以上の報酬を確保し、福利厚生を適正に扱うため、賃金規程や福利厚生制度を見直し、不合理な差がないかを確認します。給与体系が日給制や時給制の場合、安定的な生活基盤の確保から月給制への移行が推奨されるでしょう。
- 育成就労計画の策定準備: 新制度では、詳細な「育成就労計画」の作成と認定が必須です。3年間で習得するスキルやOJTの指導員、日本語学習の支援方法を具体的に考え始める必要があります。
- 監理支援機関の情報収集と選定: 監理団体が「監理支援機関」となるには新たな許可が必要です。監理支援機関は許可制となるため、信頼できるパートナーを早期に見つけることが重要です。支援内容や実績などを比較し、自社に合った機関の情報収集を進めましょう。
施行日を待たず、今から準備を進めることが、制度変更という大きな流れに乗り、優秀な外国人材を確保する鍵となります。
育成就労制度とは?目的・全体像と特定技能制度への位置づけ
育成就労制度は、外国人材を中長期的な戦力として育成し、国内の人材不足に対応する新しい在留資格制度です。従来の技能実習制度が「国際貢献」を掲げていたのに対し、育成就労制度は正面から「人材育成」と「人材確保」を目的としています。

「人材育成」と「人材確保」の両立を目指す新制度
新制度の最も重要な特徴は、制度目的を「人材育成」と「人材確保」に明確化したことです。従来の技能実習制度は「国際貢献」を掲げていましたが、その運用においては低賃金労働の温床や人権侵害といった問題で批判を受けてきました。
| 制度区分 | 在留期間 | 求められる技能・日本語レベル | 主な特徴・メリット |
|---|---|---|---|
| 育成就労制度 | 原則3年間 | 就労開始前までにA1相当以上の試験合格、または認定日本語教育機関でのA1相当講習(100時間以上)受講 | 「人材育成」と「人材確保」が目的。特定技能への移行を前提。一定条件下で転籍可。 |
| 特定技能1号 | 通算最長5年間 | 相当程度の技能(技能試験合格)、日本語能力A2.2相当以上(JLPT N4等。分野によりより高い水準の場合あり) | 特定産業分野での就労。育成就労制度からの円滑な移行パス。 |
| 特定技能2号 | 在留期間更新に上限なし | 熟練した技能(技能試験合格) | 家族の帯同が可能。永住許可申請への道も開かれる。長期的な日本でのキャリア形成。 |
育成就労制度は、こうした課題を解決し、外国人材が保護されキャリアを形成できる環境を整備することを目指します。国内の人手不足が深刻化する中、本制度は外国人材を単なる労働力としてではなく、中長期的な視点での「人材育成」を通じて「人材確保」を図ることを企図しています。具体的には、原則3年間の就労を通じて、外国人材が「特定技能1号」の水準までスキルアップできるよう、企業に計画的な育成を義務付けます。これにより、企業は外国人材を目先の労働力ではなく、将来の事業を支える中核人材として育成することが可能になります。
特定技能制度への円滑な移行パス
育成就労制度は、長期就労が可能な「特定技能」制度への円滑な橋渡し役として設計されています。これは、外国人材のキャリアパスを明確にし、企業にとって人材の定着を促す仕組みです。技能実習制度では、実習終了後のキャリアパスが不明確で、帰国を余儀なくされるケースが多々ありました。
育成就労制度では、原則3年の育成期間を修了し、所定の技能試験と日本語試験(A2.2相当以上。JFT-BasicのA2.2相当や日本語能力試験N4等。分野によってはより高い水準が求められる場合があります)に合格することで、在留資格を「特定技能1号」へ変更できます。「特定技能1号」では通算で最長5年間の就労が可能です。さらに、2号の対象分野で技能試験などの要件を満たせば「特定技能2号」へ移行でき、この場合は在留期間の更新に上限がなくなり、要件を満たせば家族の帯同も可能になります。将来的には、永住許可申請への道も開かれます。
企業にとって、これは自社で育成した人材の長期雇用を検討する道になります。育成就労制度は、単なる3年間の受け入れ制度ではなく、企業の10年先を見据えた人材戦略の基盤となる制度です。
技能実習制度との主な違い:外国人材の受け入れはどう変わる?
育成就労制度は、技能実習制度の課題を解消するために数多くの変更が加えられています。企業が外国人材を受け入れる上で、制度の目的や転籍のルール、支援機関の役割を正確に理解することが不可欠です。ここでは、両制度の主な違いを比較し、企業の受け入れ体制がどのように変わるかを解説します。

| 項目 | 技能実習制度(現行制度) | 育成就労制度(新制度) |
|---|---|---|
| 制度目的 | 国際貢献(開発途上国への技能移転) | 人材育成・人材確保 |
| 転籍(転職) | 原則不可(やむを得ない事情のみ) | 分野別の制限期間(1年以上2年以下)を経て、同一業務区分内で要件を満たせば可能 |
| 監理・支援機関 | 監理団体(企業の監督・指導が主) | 監理支援機関(許可制で監理・支援を担う) |
| 日本人との処遇 | 同種業務の日本人と同等以上の報酬が認定基準 | 同等以上の報酬を確保し、福利厚生も適正に扱う |
| キャリアパス | 特定技能への移行は一部に限られる | 特定技能1号への円滑な移行を前提に設計 |
転籍(転職)緩和によるキャリア形成の変化
新制度における最大の変更点は、一定の要件下で本人の意向による転籍(転職)が認められることです。技能実習制度では、実習生の失踪(逃亡)の一因とも指摘されていた硬直的な仕組みが見直されます。これにより、外国人材はより主体的に自らのキャリアを形成できるようになります。
具体的には、以下の要件を満たすことで、同一の業務区分内での転籍が可能とされます。
- 同一の受け入れ企業で分野ごとに定める1年以上2年以下の転籍制限期間を経過していること
- 転籍時に各分野で定める技能水準の要件を満たすこと
- 転籍時に各分野で定める日本語能力の要件を満たすこと
この変更は、外国人材にとって労働環境や待遇の改善を求めて職場を移る権利が保障されることを意味します。一方で、受け入れ企業にとっては、時間とコストをかけて育成した人材が他社へ流出するリスクが生じます。このため、今後は賃金や福利厚生、キャリアアップ支援など、日本人従業員と同様に外国人材を惹きつける魅力的な職場づくりが不可欠となります。
監理団体から「監理支援機関」への役割移行
技能実習制度で企業の監督・指導を担ってきた「監理団体」は、育成就労制度では新たな許可を受けて「監理支援機関」となる必要があります。この変更の核心は、役割の重点が企業の「監督・管理」から、外国人材の「保護・支援」へとシフトする点にあります。
監理支援機関は許可制で、受け入れ企業からの独立性などが審査されます。主な役割は、受け入れ企業が作成する「育成就労計画」の作成支援や外国人材からの相談対応、受け入れ企業への定期的な監査と指導・助言です。
⚠️ 注意: 監理団体と受け入れ企業の間にあった不透明な関係や癒着を防ぐため、監理支援機関には新たな許可が必要です。企業は安価な手数料だけで選ばず、支援体制や専門性、コンプライアンス意識の高さを吟味し、信頼できるパートナーを選択する必要があります。
日本人との同等処遇と企業に求められる義務
育成就労制度でも、同種業務に従事する日本人と同等以上の報酬が求められます。技能実習制度でも同等以上の報酬は技能実習計画の認定基準です。福利厚生は、制度や雇用条件に応じて適正に取り扱う必要があります。
企業が遵守すべき「同等処遇」には以下の内容が含まれます。
- 賃金: 同種業務に従事する日本人従業員と同等以上の報酬を確保する必要があります。基本給に加え、賞与や各種手当も労働条件に沿って適正に扱います。
- 福利厚生: 社宅の提供などは、制度の適用要件や雇用条件を確認し、不合理な取扱いを避ける必要があります。
- 教育訓練: スキルアップのための研修や資格取得支援など、日本人と同様の機会を提供することが求められます。
これらの義務を怠ると、育成就労計画の認定が取り消されるだけでなく、今後の外国人材の受け入れが認められなくなる厳しいペナルティが科される可能性があります。企業は、自社の労務管理を見直し、公平な処遇を実現する準備を進める必要があります。
育成就労制度で外国人材が働く仕組み:対象者・要件・期間
育成就労制度を実際に活用するためには、受け入れられる人材、必要な手続き、具体的な仕組みを理解することが重要です。ここでは、制度の対象となる産業分野、外国人材の要件、就労期間、受け入れ企業が満たすべき条件について詳しく解説します。

制度の対象となる特定産業分野と外国人材の要件
育成就労制度の対象分野は、特定技能の分野を基本に設定されますが、一部は対象外です。これは育成就労が特定技能人材を育成するプロセスとして位置づけられているためです。出入国在留管理庁の特定技能分野一覧によると、特定技能1号の対象は19分野です。
介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、物流倉庫、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業、資源循環。
技能実習制度における対象職種のうち、これらの特定産業分野に含まれない職種は、育成就労制度の対象から外れる可能性があります。受け入れを検討している企業は、自社の事業が対象分野に含まれるかを確認する必要があります。対象となる外国人材の国籍については,日本と二国間での協力覚書(MOC)を締結した国が中心です。
就労期間と日本語・技能水準のステップアップ
育成就労制度における就労期間は、原則として3年間です。特定技能1号への移行試験に不合格の場合など、一定の条件で在留継続が認められる場合があります。この期間は、外国人材が特定技能1号レベルの専門性と日本語能力を習得するための「育成期間」と明確に定義されます。外国人材と企業は、この3年間で段階的に設定された目標をクリアしていくことになります。
求められる水準のステップアップは以下の通りです。
- 就労開始前まで: A1相当以上の日本語試験に合格するか、認定日本語教育機関でA1相当の講習(100時間以上)を受講します。入国時のN5合格は一律の必須条件ではありません。
- 本人意向による転籍時: 分野ごとの転籍制限期間を経過し、各分野で定める技能・日本語能力などの要件を満たす必要があります。
- 3年間の育成期間終了時: 特定技能1号へ移行するためには、各分野の技能評価試験と、A2.2相当以上の日本語試験(JFT-BasicのA2.2相当、日本語能力試験N4等)への合格が必要です。分野によってはより高い水準が求められる場合があるため、最新の公式情報を確認してください。
企業は、OJTを通じて技能指導を行うだけでなく、日本語学習の機会を提供するなど、これらの要件をクリアできるよう計画的にサポートする責任があります。
受け入れ企業が満たすべき条件と体制
育成就労制度で外国人材を受け入れる企業(受け入れ機関)は、適切な育成と人権保護を担保するため、いくつかの条件を満たし、社内体制を整備する必要があります。
主な条件は以下の通りです。
- 育成就労計画の作成と認定: 外国人材一人ひとりについて、3年間の育成目標、指導内容、労働条件や日本語学習支援の方法などを具体的に定めた「育成就労計画」を作成し、外国人育成就労機構の認定を受けなければなりません。計画には育成担当の指導員の配置も含まれます。
- 監理支援機関との連携: 監理型では、許可を受けた「監理支援機関」による監理・支援の体制が必要です。
- 日本人との同等処遇の確保: 賃金規程や就業規則を整備し、日本人従業員と差別的な取り扱いをしない体制を構築する必要があります。
- 受け入れ人数の上限: 常勤職員数に応じた受け入れ人数の上限が設定され、無制限な受け入れはできません。
- 各種講習の受講: 育成責任者や指導員は、制度の理解や外国人材とのコミュニケーションに関する公的な講習を受講することが求められます。
これらの条件を満たすためには、労務管理体制の見直しや計画策定の準備が不可欠です。特に、外国人材の労務管理は複雑なため、freee人事労務のようなクラウド型人事労務システムを活用し、給与計算や社会保険手続きを効率化することも有効です。
企業にとってのメリット・デメリットと適切な受け入れ準備
育成就労制度の導入は、人材不足に悩む企業にとって大きなチャンスですが、新たな責任や課題も伴います。制度のメリットを最大限に活かし、人材流出などのデメリットを最小限に抑えるためには、その両側面を理解し、適切な準備を進めることが重要です。

外国人材の定着・育成と企業成長への期待
企業が育成就労制度を導入する最大のメリットは、計画的に育成した人材を中長期的に確保できることです。3年間の育成期間を経て、所定の要件を満たせば特定技能1号へ移行でき、通算最長5年間の就労が可能です。特定技能2号への移行には、対象分野と別の要件を確認する必要があります。
これは場当たり的な人材補充ではなく、将来のリーダーや多能工を育てる計画的な戦略を可能にします。OJTを通じて自社のニーズに合ったスキルを身につけさせ、生産性を向上させる質の高い人材を確保できます。多様なバックグラウンドを持つ人材を受け入れることは、組織の活性化や新たな視点の導入にもつながり、企業の持続的な成長を後押しします。
人材流出リスクと企業に求められる魅力づくり
一方で、企業が最も警戒すべきデメリットは、転籍緩和による人材流出のリスクです。技能実習制度とは異なり、分野別の転籍制限期間や技能・日本語能力などの条件を満たせば、同一業務区分内で転籍が可能になるため、時間とコストをかけて育成した人材が条件の良い他社へ移る可能性があります。
このリスクに対応するためには、企業自身が「選ばれる職場」になる努力が不可欠です。日本人との同等処遇を守るだけでなく、それを超える魅力づくりが求められます。
- 公正な評価とキャリアパスの提示: 頑張りや成果が昇給・昇格に反映される透明性の高い評価制度を導入し、将来のキャリアプランを共に考える姿勢が重要です。
- 良好な職場環境の構築: 日本人従業員とのコミュニケーションを促進し、孤立させないためのサポート体制や、安全な職場環境を整備します。
- 生活面でのサポート: 住居の確保支援や地域社会に馴染むための手助けなど、仕事以外の面でも寄り添う姿勢が従業員のエンゲージメントを高めます。
一部で「育成就労制度はやばい」と懸念されるのは、主にこの人材流出リスクを指しています。しかし、これは企業が外国人材を単なる労働力ではなく、共に成長するパートナーとして向き合うことを促す、制度の健全な側面とも言えます。
制度変更に対応するための社内体制整備と費用
新制度への対応には、新たな社内体制の整備と費用の発生が避けられません。企業は、これらの負担を事前に見積もり、計画的に準備を進める必要があります。
具体的に発生する可能性がある費用は次の通りです。
- 人件費の増加: 適正な報酬水準や福利厚生の確認に伴い、基本給や賞与の水準が上昇する可能性があります。
- 監理支援機関への委託費用: 支援機関に支払う管理費や各種申請サポート費用が発生します。
- 教育・研修費用: 日本語教育の機会提供に伴う教材費や指導員の講習費用などが必要です。
- その他支援費用: 住居の初期費用や生活必需品の準備など、外国人材の生活立ち上げを支援するためのコストも考慮すべきです。
これらのコスト増に加え、育成就労計画の策定・管理や定期的な報告義務など、業務負担も増加します。これに対応するためには、社内の役割分担を明確にし、必要に応じて外部の専門家やサービスを活用することが賢明です。
育成就労制度導入に向けた支援機関の活用と選定ポイント
監理型の育成就労では、許可を受けた「監理支援機関」との連携が必要です。制度変更に伴う法務・労務上の課題に対応するためには、専門家のサポートも有効です。ここでは、自社に最適なパートナーを選定するためのポイントと、活用できる専門サービスについて解説します。

信頼できる監理支援機関の選び方
自社に最適な監理支援機関を選定するには、費用だけでなく、支援の質や専門性、コンプライアンス意識を多角的に評価することが重要です。制度の目的が「支援」の強化であるため、単なる手続きを代行するだけでなく、企業と外国人材双方に寄り添ったサポートを提供する機関を選ぶべきです。
選定の際に確認すべきポイントは以下の通りです。
- 許可と実績: 監理支援機関の許可を受けているか確認します。技能実習制度での監理実績や特定技能の登録支援機関としての活動実績も参考になります。
- 専門性と支援体制: 自社の業種・職種に関する専門知識を持つか、多言語対応が可能なスタッフが在籍しているか、定期訪問や面談の頻度を確認します。
- 透明性の高い費用体系: 支援内容とその費用が明確に提示されているかを確認しましょう。不明瞭な追加費用が請求されないように、契約内容を十分に精査する必要があります。
- コンプライアンス意識: 過去に行政処分を受けていないか、法令遵守に関する研修を実施しているかも重要な判断基準です。
多くの支援機関の中から最適な一社を見つけるのは容易ではありません。そのような場合は、当サイト「外国人採用ポータル」のようなマッチングサービスが役立ちます。地域や業種、対応可能な在留資格などの条件で支援機関を検索・比較でき、採用企業は無料で相談できます。ミスマッチを防ぎつつ、最適なパートナーを見つけることができます。
専門家・コンサルティングサービスの活用
育成就労制度への対応は、支援機関だけに任せず、必要に応じて専門家の知見を活用することが有効です。特に、法改正や複雑な手続きに関する課題では専門サービスの利用が有効です。
以下に、活用できる専門サービスの一例を示します。
- 講習・セミナー: 公益社団法人全国労働基準関係団体連合会(全基連)が実施する「育成就労制度関係者養成講習」に参加することで、制度の法的根拠や実務上の手続きを学べます。
- 法務コンサルティング: 行政書士法人やなぎグループのような専門事務所には、在留資格の申請手続きについて相談できます。
- 受け入れ相談・支援: 公益財団法人 国際人材普及振興協会は外国人材の受け入れに関する情報提供や相談に応じています。
- 外国人雇用・在留手続き: ソリューション行政書士法人には、外国人雇用に伴う在留資格申請について相談できます。
これらの外部サービスを状況に合わせて組み合わせることで、制度変更に伴うリスクを低減し、効果的な外国人材の受け入れを実現できます。
まとめ:育成就労制度への理解を深め、外国人材採用を成功させるために
本記事では、2027年4月1日に施行される「育成就労制度」について、施行時期の見通しや技能実習制度との違い、企業が準備すべきことを解説しました。この新制度は、日本の人手不足解消と、外国人材の人権保護・キャリア形成支援を両立させるための重要な一歩です。
育成就労制度の核心は、目的を「国際貢献」から「人材育成と確保」へ転換し、外国人材を3年間で特定技能レベルまで育成することにあります。この変更に伴い、企業には以下のような変化と対応が求められます。
- 人材定着への努力: 転籍が緩和されるため、魅力的な職場を提供し、選ばれる企業になる必要があります。
- 計画的な育成体制の構築: 個別の「育成就労計画」に基づき、OJTや日本語教育を計画的に実施する責任が重くなります。
- 法令遵守と人権配慮の徹底: 日本人との同等処遇を守り、「監理支援機関」と連携して適正な受け入れ体制を構築することが不可欠です。
育成就労制度は単なる労働力の受け入れではなく、外国人材と共に成長し企業の持続的な発展を目指す仕組みです。制度の趣旨を深く理解し、適切な準備を進めることが、優秀な人材を確保し、中長期的な競争力を高める鍵となります。
しかし、新制度への対応や自社に最適なパートナーを見つけることは容易ではありません。「外国人採用ポータル」は、信頼できる支援機関を効率的に探す手助けとなります。外国人材の採用を次の一歩へ進めるために、まずは専門機関への相談をお勧めします。
よくある質問
育成就労制度はいつから始まりますか?
育成就労制度は、2024年6月に改正入管法が成立し、2027年4月1日に施行されます。現在(2026年)はまだ現行の技能実習制度が継続されており、企業は施行に備えた準備が求められています。
育成就労制度では、外国人材も転籍(転職)が可能になりますか?
はい、育成就労制度の大きな変更点の一つとして、一定の要件を満たせば外国人材が本人の意向で転籍(転職)できるようになります。本人意向の転籍は、分野ごとに定める1年以上2年以下の転籍制限期間を経たうえで、同一の業務区分内で技能・日本語能力などの要件を満たす場合に可能です。これにより、外国人材はより主体的にキャリアを形成できるようになります。
育成就労制度で受け入れる外国人材の就労期間はどのくらいですか?
育成就労制度における就労期間は、原則として3年間です。ただし、特定技能1号への移行試験に不合格の場合など、一定の条件で在留継続が認められる場合があります。この3年間で特定技能1号レベルの技能と日本語能力(A2.2相当以上。日本語能力試験N4等。分野によってはより高い水準)を習得し、所定の要件を満たせば、在留資格を「特定技能1号」へ変更できる場合があります。特定技能1号の在留期間は通算最長5年間です。
育成就労制度では、外国人材の給与や待遇はどのように変わりますか?
育成就労制度でも、同種業務に従事する日本人と同等以上の報酬が求められます。技能実習制度でも同等以上の報酬は技能実習計画の認定基準です。福利厚生は雇用条件や制度の適用要件に沿って適正に取り扱う必要があります。給与体系は労働条件と実際の運用に照らして確認しましょう。
育成就労制度で受け入れた外国人材は、将来的に永住できますか?
育成就労制度で育成された外国人材は、育成期間終了後に特定技能1号、さらに2号の対象分野で所定の要件を満たせば特定技能2号へ移行できるキャリアパスが明確化されています。特定技能2号の在留資格を得た場合、在留期間の更新に上限がなくなり、要件を満たせば永住許可申請への道も開かれます。
参考文献
- 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案の概要 — 出入国在留管理庁
- 新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組について(令和6年6月14日) — 出入国在留管理庁
- 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末現在) — 厚生労働省 (2024年1月26日発表)